当研究室は2005年4月に開設した新しい研究室です.当研究室は,大学院システム情報科学研究院と大学院システム生命科学府に所属することになりますが,この組織形態は九州大学独特のもので少し説明を要するものと思われます.九州大学は他の国立大学法人と異なり,従来の大学院の研究科を,教育組織である学府(Graduate School)と研究組織である研究院(Faculty)に分離しました.これは,変化の速い時代の流れの中で,柔軟に対応し最高の教育,研究を行おうというものです.とは言っても,教員の所属する研究院と学生の所属する学府は一体となって運営され,従来の研究科の組織とそれほど大きく変わることはありませんでした.そのような状況の中,当研究室は,研究院はシステム情報科学研究院,学府はシステム生命科学府という形で発足いたしました.システム生命科学府は,2つの専門(ダブルメジャー)を持った研究者,技術者を養成することを目的に,学際的に設置された学府で,理学研究院,農学研究院,医学研究院,生体防御医学研究所,数理学研究院,工学研究院,それにシステム情報科学研究院に所属する教員が教育にあたっています.要するに,システム生命科学府では,生命科学と共に,工学や情報工学の専門を身につけることが出来るわけです.このように,当研究室に所属すると,システム情報科学のみならず,生命科学系の幅広い知識,技術を手にすることが出来ます.
私達の研究室では,ヒトの脳機能の解明を目指した脳機能イメージング,脳の働きをモデル化して様々な分野に応用する脳機能モデリングに関して研究を展開しています.具体的には,脳波,脳磁図,MRI,近赤外光,経頭蓋磁気刺激を用いた脳機能の計測や新しい計測技術の開発,脳の働きを模擬する脳機能シミュレーターの開発等に関して研究行っております.脳の働きの解明は,生命科学の基本であり,それを応用する分野は限りなく存在します.私達は,脳情報処理の理解を深め,その技術を生命科学,医学,工学,さらには,教育への応用をめざしております.
私たちが研究している分野は学際領域であるため,医学や生物学,さらには教育学や心理学とのコラボレートを大切にし,研究を行っております.
九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報学部門
九州大学 大学院システム生命科学府 生命情報科学講座
教授 伊良皆啓治